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■■ 起業にむくタイプとは? |
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起業に適性があるかどうかは意見が分かれるところです。起業をするだけなら誰にでもできますが、企業として成り立つかどうかが問題です。
企業経営に必要な知識は自分の努力でカバーして行かなければなりません。サラリーマン時代なら、多少の時間の猶予や、知識不足も[組織」が何とかカバーしてくれます。
起業しても、離陸できるかどうか、離陸後フライトを順調に保つことができるかどうか、資金という燃料を給油し、飛行を継続できるかどうか、パイロットとしての適性があるのかもしれません。
人間であればこそ、長所もあれば短所もある、得意なこともあれば、不得意なこともあるといえます。それらは必ずしも不変であるわけではなく、努力や知恵と工夫でカバーできると考えます。
しかし、限られた時間や資本など経営資源では、努力にも限界があります。
起業のタイミングもあります。組織で動けるようになると、景気が悪くても何らかの方策を見いだすことができます。
ところが、起業直後というのは、人間でいえば赤ちゃんです。ちょっと足場が悪かったり、風が吹いたりするだけで転んでしまいかねません。
起業家においては、夢の実現に向かって夢中になれるかどうかが、成功へのポイントといえます。人生設計をキチンとして、それをものさしとして企業経営と共に自分の人生の進み方を考えてみましょう。
さらに、起業をするということは、自らの夢や志、そして自己実現を具現化することですから、以降の人生プランをも同時に考えることが必要になります。
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■ 自らの棚卸し
自分自身の棚卸しとは、ひと言で言うと「自分はどのような資質・能力を持つ人間なのか」自分自身のアイデンティティを明確にすることです。
そのためには、先ず自分自身の得意・不得意、長所・短所を明確にしましょう。そして、自分の夢を文書化してみましょう。
その上で、この1年に何をすべきか、3年後にどうありたいのか、5年後、10年後、30年後、50年後の自分を想定してみてください。すなわちライフプランを明確にすることです。
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資料出典: J-NET21 |
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ご自身の棚卸しのために、下記Excel資料をご利用になるのも良いでしょう。 |
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起業準備シート(Excel)
自己分析シート(Excel)
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【 注 】
上記のファイルが開けない場合には、ID/パスワードのダイアログボックスで「キャンセル」をクリックしてください。
読み取り専用になっていますので、一旦別のファイル名で読み取り専用を解除の上、保存してからご利用ください。 |
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資料出典: J-NET21
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■ 自らの棚卸し[仕事・趣味]
自分が歩んできた道を振り返ってみましょう。仕事がうまくいっていた時期、落ち込んでいた時期、いろいろあるでしょう。
時系列的に見たり、SWOT分析表を利用したりして、過去に経験なにをしてきたことを書き出してみると、自分の長所・短所が明確になります。長所の活かし方、短所の補い方、その方策を考えてみましょう。
同様に趣味ついても、自分自身の棚卸しをしてみましょう。例えば、自分の趣味は、どの程度の深さか、どの程度世の中に通用するレベルなのか、自分が目指すビジネスに通用するのか、自分自身に偽らず評価してみましょう。
それらと自分の「起業」との関連性を見て、自分が起業すべきかどうか、判断できるかもしれません。
プラス思考で見て、起業するのであれば、どの分野で、どのようなビジネスがてきしているのかを考えてみましょう。
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■ 自らの棚卸し[人脈]
「人脈は財産である」といわれますが、「人的な棚卸し」というのは、自分の人脈がどのようなものなのかをはっきりさせることです。
現在持っている人脈で、自分が目指すビジネスに即活かせる人は誰か、その人達を目的に応じて分類し、優先順位を付けます。
注意しなければいけないのは、自分がサラリーマンであったときには、その「会社」と言う看板が後ろにあったことを忘れてはいけません。
無冠のままで、その人が本当に自分の力になってくれるのかどうか、予想以上に難しいことを覚悟の上で接することです。
自分の古巣に対して敵対的な行為は避けたいですね。倫理的・道義的な問題だけではなく、顧客からの信頼にも影響しかねません。
過去の人脈の掘り起こしも考えてみましょう。これまでもらった名刺を整理すると、意外と自分の今後に役立つ人脈が見つかるモノです。
これらの人脈を、仕事面だけではなく、資金面とか知識・情報の支援面とか、目的別に整理し、接触緊急度別の重点化もしてみましょう。
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■ 自らの棚卸し[資金面]
会社法では、1円からでも株式会社を設立することができるようになりました。
しかし起業するには、交通費や電気・電話料金をはじめいろいろな経費が必要ですので、現実問題として、資本金1円では企業の運営は不可能です。
それだけではなく、資本金1円の企業を相手に、企業が取引をしてくれるかどうかも心配です。
やはり、起業にはそれなりの資本がないと企業経営はやって行けません。
起業と資金という関係は切っても切れないものですので、起業にあなたが適しているかどうかは、検討すべき要件です。
「経営コンサルタント業は資金なしでも開業できる」という言葉をしばしば耳にします。
1970年代に私が起業したときのことを思い出したり、近年「コンサルタントのためのコンサルタント」などと煽てられていることからいろいろな経営コンサルタント起業家と接する機会があったりする経験から、この問題を考えてみたいと思います。
私見では、経営コンサルタント業でも起業に資金は必要です。
経営コンサルタントとして起業しようとする人には「最低3年間、無収入でも生活できるだけの資金をもってから独立起業しよう」というようにお話します。
経営コンサルタント業というのは、残念ながら簡単にビジネスとして成功できる職業ではありません。クライアントが見つかり、安定した収入を得られるまで、かなりの時間がかかります。
いったんは安定したように見えても、クライアントがいつ契約継続を破棄するかはなかなか読めません。病気で仕事ができなくなることもあります。
起業してからどのくらいの時間がかかるかは、人により異なります。「石の上にも三年」と言われることもあるので、3年くらいのうちには収入も安定してくるのではないでしょうか。
既述の資料などを参考にして、起業時の必要資金を算出してみてはどうでしょうか。
【ポイント】
- 自身の出資金と合わせて、どの機関や誰から資金的な支援が受けられるかを、具体的な金額までをあげます。
- 開業資金の目安がつくことにより、開業費、事務所費、営業経費などを振り分けていきます。
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■ 自らの棚卸し[マインド]
高い志と強い使命感
「自分が目指す事業をなんとしても成し遂げる」という強い意志と共に、それが社会貢献に繋がることであるという高い志や使命感がないと、中途で挫折しかねません。
社会貢献できる、顧客満足度の高い商品・サービスを作り上げ、提供し、お客様に認められれば、結果として売上高として、あるいは利益として手元に入ってくるのです。
経営コンサルタント業を目指す人に「あなたはお節介焼きですか?」という質問を投げかけます。
経営コンサルタント業というのは、人様(人様の会社)の懐を豊かにする支援をするプロです。自分自身がお金持ちになりたいのであれば、お金儲けのノウハウを知っているはずですので、自分でビジネスを行う方が近道だと考えます。
人様の懐を豊かにするというお節介な精神を持ち合わせていませんと、人様が成功するとそれが妬みとなりかねません。人様が豊かになることに喜びを感じられる人が経営コンサルタントとしてふさわしいと考えています。
何事にもプラス思考で考える
「羮(あつもの)に懲(こ)りて膾(なます)を吹く」という言葉があります。
温かい煮物を食べたら、口にやけどを負ってしまい、冷たいことが解っているなますを食べるときも、熱いかもしれないとフーフーと息を吹きかけるという意味です。
自分の過去の失敗や、他人の失敗を目の当たりにして、「慎重に行こう」と考えることは必要です。しかし、慎重になりすぎることは行き過ぎではないでしょうか。
ましてや、「○○は、××という危険性をはらんでいるので取り組まない」という「なます理論」では、起業目的を達成する機会すら訪れなくなってしまいます。
物事をすべて否定的に考えていては、可能性をすべて潰すことになります。そこには前進もなくなります。
失敗したら、そのリカバリー策に挑戦し、それが実現したときの喜びは起業家には大きなものです。
どんなちいさな成功でも、それを喜ぶことができる、プラス思考が、明日への飛躍に繋がると信じて言います。
経営コンサルタント業をやっていて何よりも嬉しい言葉は「先生のおかげです」と言われることです。しかし、経営コンサルタントが誉められるべきことではないと考えています。その様なときに、うれしさを顕わにし、「コンサルタントとしてアドバイスをしたことを実行し、実現できた社長さんや社員の皆さんが努力した結果の賜なのです」と言葉を返すようにします。
強靭な精神力と忍耐力、そして行動力
障害は何ごとにもつきものです。それを回避する策を事前に講じても失敗しないとは言い切れません。失敗したらその対応策を実行に移せる力も必要です。起業家は、失敗をしたからといって、同情をしてくれる人はいても、誰も助けてくれません。自分で解決しなければならないのです。
失敗しても再び立ち上がれる強靱な精神力は、起業家に不可欠です。また、起業時の自分の気持ちや考えを大切にすることも必要で、それが失敗しても次の成長の糧になります。
起業家の多くは、頭脳・情報先行型というか、耳年増というか、企業経営は頭脳でするものと考えているようです。「○○をすると失敗するのではないだろうか」「△△はこのようにやるべきだ」「□□のやり方はこのようにやるべきだとある本に書いてあった」などと、経営コンサルタント並みか、それ以上によく知っている人が多いのです。
「非常に良いアイディアですね。それだけ考えているのなら是非それを実行してみたらどうでしょうか?」とアドバイスをしますと、我が意を得たりという気持ちになるのでしょうか、喜んで帰って行きます。ところが、次に会ったときに、何の変化もないことがしばしばです。
経験上、頭脳派の人で、成功する人は少ないような気がします。多くが行動力が伴わないのです。かといって、人を使って部下にやらせるかといいますと、自分がいろいろなことを知っているだけに部下のやり方が気に入りません。部下も何か行動を起こすと社長からいろいろと言われます。反論をしようものなら、頭の良い社長にやり込められてしまいます。
次第に部下も嫌気を差し、YESマンになり、最後はやめて言ってしまうのです。
いくら頭で立派なプランを立てても、行動力が伴わないと結果として出てきません。そのことを重々知っておく必要があります。
たゆまない努力と向上心、そして好奇心をもつ
サラリーマン時代に成功してきた人は、自信を持って独立起業を行うでしょう。ところがサラリーマン時代というのは、会社名と肩書きがモノを言って、それが無言の働きで仕事ができているのです。
独立起業をして、最初に知らしめられることは、名刺に力がないことです。
独立起業をしたら一兵卒であることを認識すべきです。
では、サラリーマン時代の経験がすぐにコンサルタントとして活かせるかというとそうでもないのです。「自分だけが知っていて、他の人は知らないだろう」と思うようなことでも、その道に秀でた人はいるものです。相手が中小企業だからといって高をくくっているとやり返えされることがあります。
世の中には、上には上があるのです。それだけではありません。時代の変化と共に自分の知識や体験が陳腐化してしまうことにも心する必要があります。
常に最新の情報を取り入れましょう。
とりわけ経営コンサルタント業は、守備範囲が広いですので、取り入れるべき知識や情報は本腰をいれませんと、いつのまにか周囲の人の方が詳しくなっていたりします。
自分の専門分野や得意分野だけではなく、周辺部分についても力を入れる必要があります。専門莫迦になってしまいますと、自分の専門分野でも成長しなくなります。
時代のキーワードに敏感になると共に、次の時代のことを常に念頭におき、知識や情報を吸収しましょう。それには好奇心は不可欠です。疑問に思ったことをそのままにせず、何らかの方法で解決しておくべきです。人脈を利用するとネットワークを利用する以上二スピーディに適切に解決できることが多いです。
「人間、一生が勉強」という気持ちを持ち続け、自分自身の行動においても、「P・D・C・A」を核とした「P・D・C+S/A」、アクション・プロセス・マネジメントを自分自身で励行すべきです。
コミュニケーション能力
経営コンサルタントに限らず、起業家にとって大切で有益なこととして「人脈」を忘れてはなりません。
自分が困ったり、解らなかったりするときに、誰に頼めば最適な活性化委員会を得られるか、ヒントを得られるか・・・
それが人脈だと考えます。
人脈は、平素からの活動が重要です。
税理士であり経営コンサルタントである、ある先生は、異業種交流会とかビジネス界強盗に積極的に参加しています。そのために、そこで得られた人脈をビジネスに活かしています。
「今度、○○をテーマとしてセミナーをやるんだけど、誰か良い講師を知らない?」などという問題があるときに、その先生の処にコンタクトをすると誰か適切な人を紹介してくれます。
会合に出たときに、お客様として参加するのではなく、主催者に直接当たり、仕事を手伝いながら、人脈を拡げてゆきます。その時に大切なのがコミュニケーション能力だそうです。
コミュニケーション能力が問われることとして、プレゼンテーションがあります。プレゼンテーションは、文字や図版によるコミュニケーションだけではなく、話法の力も必要です。すなわち、プレゼンテーションはコミュニケーションの総合力が求められるのです。
経営コンサルタントだけではなくいろいろはビジネス現場で求められるだけに、プレゼンテーションによるコミュニケーション能力は重要です。
コミュニケーションは、社内でも重要です。
とりわけ部下ができたときには、部下との適切なコミュニケーションが自分のビジネス成功にも影響してきます。部下を使う人にとっては、部下のモチベーションアップにもコミュニケーション能力が重要です。
健康と自己管理能力
経営コンサルタントを目指す人から「経営コンサルタントに取って何が重要ですか?」という質問をしばしば受けます。
「気力・智力・体力」と答えるようにしています。
これまでも気力や智力の重要性はお話してきました。
体力もまた、ビジネスパーソンには重要です。
競争の激しい企業においては、自分の健康状態が優れなくても隠すのが一般的です。
健康に優れないということは、ビジネスパーソンとしての資質として重要な要素なのです。ですから、ライバルに知られるとことを怖れたり、出世に影響したりしますので、上司にも知られないように最善の努力を尽くします。
私たち経営コンサルタントも、体力がない年ごとができません。
「何日の何時何分までに○○をやらなければならない」というときに、「時間がなかったからできませんでした」という言い訳は通用しません。相手のクライアント・顧問先は、その書類が遅れたがために倒産するかもしれないような崖っぷちにいることがあるのです。徹夜をしてでも、家族の応援を得てでも、アルバイトを雇ってでもやりとげるのがプロなのです。
経営コンサルタントでなく、サラリーマンならそれが許されるかというとそうとは思いません。サラリーマンも「サラリーマン」というプロなのです。
スケジュール管理にしろ、健康管理にしろ、「自己管理」が基本であることを忘れたら、プロではなくなります。
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参考資料 |
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