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経営コンサルタントに関するQ&A

実力を高めるためには


経営コンサルタントになるには、資格取得をするには、どのようなことを勉強すべきか、学生が経営コンサルタントを目指すには、いろいろな疑問がおありでしょう。経営コンサルタント歴30年余「コンサルタントのためのコンサルタント」と呼ばれるプロコンサルタントが誠意を持って回答いたします。



■ 経営診断研修は、コンサルタントにとって必要なことですか? .

 経営コンサルタントというとすぐに「経営診断」を連想する人が多いです。「経営診断=財務分析」と考え、決算書を分析することのように誤解している人も多いのが現実です。

 もちろん、財務分析は重要ですし、経営診断にはつきものです。しかし、財務分析は経営診断の一部であって、全部ではありません。

 経営診断は、企業・組織の隅々まで診ることを基本にしているので、経営コンサルタントとしての実力が問われます。裏を返すと、経営診断を多く経験している経営コンサルタントは概して実力派と言えます。

 一方で、経営診断の機会というのはそう簡単には巡り会えません。そこで、(特)日本経営士協会では「経営診断研修会」というのが年に何回か開催され、そこで経営診断を体験することができます。

 先日は、実践!コンサルタント道場という研修の一環としての経営診断に関わる研修会が開催されました。

 経営診断というのは、現実にも数ヶ月かかります。この研修も5ヶ月にわたり経営診断の研修会が開催され、経営診断の体験をすることができます。

 今回は、対象となる企業の財務分析がなされました。グループに分かれて財務分析をした結果の報告会がなされました。

 税理士なら、この財務分析をこのような視点で見るが、経営コンサルタントは「○○と○○と○○の3つの視点を忘れてはいけない」と講師から財務分析のノウハウの披露がありました。

 経営コンサルタントは、なかなか自分のノウハウを明かすことはありませんが、この講師のすばらしさがにじみ出る研修会でした。

 ここで浮き彫りになった経営課題を持って、次回は実際に企業を訪問してその裏付けを取ったり、その他の問題解決を見つける活動が行われます。

 これから経営士・中小企業診断士資格取得を目指す人も、机上の勉強だけではなくこのような実践も体験して欲しいと思います。

■ 経営コンサルタントに簿記知識は必要か? .

 経営コンサルタントと言いましても、いろいろあります。すなわち専門分野を明確に持ち、それを表明している経営コンサルタントは成功している人が多いです。企業側からすると、経営に関して全てに通じていて欲しいというのが一般的です。その様に、専門分野が明確な経営コンサルタントでも、専門外の分野では、必ずしも高いレベルの知識やコンサルティング・スキルを持っているわけではありません。

 残念ながら、著名な経営コンサルタントといえども、「財務に弱い」という先生は結構います。決算書を見て、その経営状況を大まかに把握できなくては、クライアントにとっては心配となります。それどころか、信用されません。

 専門分野が何であれ、財務に関する基礎知識は持ち合わせて欲しいです。

 では、「財務=簿記」かと言いますと、簿記は財務の一部と言っても良いかもしれません。しかし、経営コンサルタントに取っての財務知識というのは、必ずしも簿記の知識がなくてもあまり問題となりません。もちろん、簿記の原則的な知識は、財務知識の中では不可欠です。かといって簿記学校に行って学ぶ必要があるかと言いますと、財務を専門とする系コンサルタントでなければ必ずしも不可欠とは言えません。むしろ、簿記学習に時間を投じるのであれば、必要性の高い分野での学習に力を入れた方がよろしいのではないでしょうか。

 これは、簿記の知識が不要だというのではなく、簿記知識を学ぶ必要性を感じたり、時間的な余裕が出てきましたら簿記を学んではどうでしょうか。
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1.経営コンサルタントとは

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2.事業活動と経営コンサルタントの対象範囲・対象分野

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3.士業とコンサル対象分野

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4.企業のライフサイクル・ライフステージとコンサルテーション

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5.コンサルテーションの具体的内容

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6.コンサルテーション・テクニックと人間性


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近年、経営コンサルタント(以下コンサルタントと略す)を目指す人が増えてきたようであるが、コンサルテーションに対する理解不足、認識不足も多いようなので、私なりの経験からであるが私見を述べる。ぜひ理解を深めて立派なコンサルタントになってほしいと念願する。(異論・反論も大いに歓迎します)

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1.経営コンサルタントとは

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◆経営コンサルタントとは(広辞苑による)

「企業経営の相談・診断・助言・指導を行う人」。

経営コンサルタントには、職業独占の業務はなく必須の資格というものはない。

◆中小企業診断士と経営士

 ただし、次の2つの代表的な資格がある。

●国の中小企業施策との関連で経済産業省の「中小企業診断士」という国家資格がある。クライアント企業の経営状態を調査・分析し、改善案の立案・実施の支援を行うこととなっている。

●民間資格ではあるが日本経営士協会の「経営士」という資格もある。経営に関する相談・診断・指導・調査・企画・教育訓練並びに管理を業とする者及び業としようとする者となっている

(両資格とも試験制度や資格の詳細は各自で調べてほしい)

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2.事業活動とコンサルテーションの対象範囲・対象分野

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 次の文章から企業の経営資源と主たる事業活動の関連をつかんでほしい。

まず、経営ビジョンや経営目標があり、経営者の経営に対する姿勢、つまり経営理念や経営方針、経営戦略を明確にし、経営ビジョンや経営目標を達成するための数値計画と行動計画とがある。

それは、4つの経営資源(ヒト、モノ、カネ、情報)を有効に使い、顧客に対して4つのマーケティング活動(製品、価格、販路、販促)を展開することである。

ここで皆さんに問いかけたい。皆さんはこのどの分野のコンサルテーションをするのか、これが明確になっていますか。以外に答えられない人が多いはずである。

◆経営ビジョンや経営目標づくりの分野、経営方針や経営戦略に関する分野、数値計画や行動計画に関する分野ですか。

◆それとも人材に関する分野、財務に関する分野、技術やノウハウ・設備等に関する分野、情報に関する分野ですか。

◆さらには、マーケティングに関する分野、つまり市場調査や製品計画(含む商品企画やサービス企画)の分野、価格政策に関する分野、販路に関する分野、販売促進に関する分野ですか。

うっかりすると点の部分になっていませんか。

また、コンサルテーションというのは分野に関係なく全体的なものだという方もおられると思う。

でも良く考えていただきたい。そんなオールマイティなコンサルタントはいるはずがない。

では、私は何が得意の経営コンサルタントですと言い切れるもの、名刺やチラシ・ポスターをお持ちの方がどれだけいますか。

何でもやりますというコンサルタントもいますが突っ込んでいけば何も出来ない、というコンサルタントも多いのが実情です。

ただし、点の分野だけでなく得意分野を中心とする線あるいは面的な分野に拡大をしていく必要はある。

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3.士業とコンサルタント対象分野

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 次に、士業とコンサルテーションの関係を見てみよう。

 中小企業診断士以外は職業独占業務を持つがコンサルテーションというよりは、法や規則に準拠しているか、正しく処理されているかといった結果に対するもの、あるいは諸手続きの申請や届出の代行的な業務が中心である。

主なものを上げれば以下の通り。(点=専門分野に特化、奥行きは深い)

◆人に関する資格・・・・・社会保険労務士

◆財務・税務に関する資格・・・・・税理士・公認会計士

◆ものに関する資格・・・・・技術士・級建築士・弁理士等

◆情報に関する資格・・・・・ITコーディネーター・情報処理技術者

   ◆手続き代行、紛争処理や調停等に関する資格・・
        弁護士・司法書士・行政書士・不動産鑑定士等

◆そのたの資格・・・・・販売士

 これらの有資格者は、それぞれの分野に関しては他の分野の人の追随を許さない奥行きの深い専門分野であり専門家である。事業活動の結果に対する分野、過去のものに対する分野であり、また絶対的なものである。

これに対し、コンサルテーションの分野は、これからどうするという未来、将来に向けた分野であり、ファジーな部分が多い分野であり、流動的柔軟的にとらえていく分野である。

この違いをよく理解し、マネジメントの分野やマーケティングの分野もマスターし、意識も新たにして職域を拡大してほしい。

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4.企業のライフサイクル・ライフステージ、企業規模、業種・業態とコンサルテーション

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◆企業のライフサイクル・ライフステージ

 企業の寿命は30年という説もあるように、企業にもライフサイクル・ライフステージがある。

 一般的には、生誕期(導入期)、成長期、成熟期、衰退期とあり、主にどのステージにある企業を対象とするのかも重要である。

 例えば、新規創業から成長期前半、急成長し株式公開(直前)、株式公開以降、成熟期以降に絞るなどである。

◆企業規模

 ライフサイクルと多少関係もあるが、零細・小企業を対象とするのか、中小企業を対象とするのか、中堅・中小企業を対象とするのか、中規模企業や大企業を対象とするのかなどである。

◆業種・業態

 製造業、工務店・建設業、運送業・倉庫業、卸売業、小売業、商業集積、対事業所サービス業、対個人サービス業、飲食業、IT関連業種などの中から、得意業種や特化業種等どこかに絞り込むのかなどである。

◆また、これらに関連して、一人でやるのか、組織(会社、組合)でやるのか、グループ化・ネットワーク化してやるのか、コンサルティング・ファームでやるのかといったことも検討する必要がある。

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5.コンサルテーションの具体的内容

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コンサルテーションの具体的内容は、「中小企業診断士」がクライアント企業の経営状態を調査・分析し、改善案の立案・実施の支援を行う、「経営士」が経営に関する相談・診断・指導・調査・企画・教育訓練並びに管理となっている

これらを要約してみると、以下のようになろう。

     経営全般に関する相談業務

     経営全般に関する企業調査・診断・分析業務

    企業調査・診断・分析業務による改善案の立案・企画・指導・支援

     教育訓練・研修・能力開発

このほか、講演やセミナー開催、研究・調査、執筆などが上げられる。

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6.コンサルテーション・テクニックと人間性

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 以上でコンサルテーションの対象範囲や分野、コンサルテーションの内容を見てきたが、個々のテクニックやツールには言及していない。これは各自が良いと思うものを探し出すあるいは自らでつくりだす必要がある。

 最後にもう一つコンサルタントの全人格的な人間性が必要であり、場合によってはこれが一番重要ではないかと思っている。

 なぜなら、経営者がコンサルタントを選ぶ条件を挙げてみると以下のようになる。

 ◆信頼性・協調性・責任感・誠実性

  人間として信頼できるか、なんでも相談できるか、責任をもって遂行してくれるか、人格円満誠実かなど。

◆倫理性

 守秘義務は守られるか。

◆学識・経験

 基礎学識や実務知識専門知識、実務経験・応用能力はあるか。

◆指導・支援性

 分析家・評論家でなく実情に合うようアドバイスや指導、あるいは一緒に取り組んでくれるような支援をしてくれるか。

◆その他(当たり前のものとしての資質・能力)

 計画性、資料の収集・分析力、理解・判断力、応用力や創造力、構成力や表現力・説得力、持久力、集中力、安定性など。

コンサルテーション・テクニックより人間性や全人格が重要であるがこれは教えてくれる学校もないので自らで磨くしかない。

以上、いろいろな項目を挙げてみたが、実際にはこれらの項目が複雑に交錯しており、ケースバイケースで対処していくこととなろう。

また、企業と同じようにコンサルタントとしてのビジョンや経営理念、経営方針や経営戦略、環境分析や予測力、マーケティング、経営計画が必要である。

ご寄稿

 渡邉ビジネスシステム研究所
  中小企業診断士 渡邉 勲 先生





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