谷澤佳彦先生は谷澤佳彦税理士事務所の所長で、税理士業
を中心にご活躍中です。
また、最近はBUN-NET異業種交流会でも中心的な役割を演じ、
社会奉仕的な活動も積極的になさっております。
■■■ 中小企業の資金調達<社債> ■■■
上場企業であれば資本市場から直接資金調達が可能ですが、中小企業の資金調達は、金融機関からの借入に依存せざるを得ない場合が多々あります。しかしここ数年、金融機関の融資姿勢は大変厳しくなってきています。
そこで、近年注目を浴びている資金調達方法に、私募債といわれる社債があります。とりわけ、その一種である縁故債により資金調達を行う企業が増加しつつあります。
1. 紹介内容:
縁故債(私募債の一種で、とりわけ発行対象人数が少ない)
2.縁故債発行条件
縁故債の発行は無条件でできるわけではありません。主なこととして次のような条件を満たす必要があります。
1)株式会社
2)無担保募集の場合、直前2年間の縁故債発行総額が5億円未満
3)直前6ヶ月の購入者総数が50人未満
4)不特定多数あるいは金融機関への募集は不可
3.主なメリット
縁故債を採用することにより、次のようなメリットが挙げられます。
1)取締役会決議で発行可能・監督官庁への届出不要
2)5億円未満の発行なら、無担保も可能
3)金利・償還期限を任意に設定可能
4)任意で償還可能
5)利息は後払い(通常年2回) 等
また、貸借対照表・事業計画書等の公表義務はありませんが、公表することにより、社員の経営参画意識の高揚、取引先との結束力の強化が期待できることがあります。その反面、社員・取引先に伏せていた情報を公開することにもなります。
縁故債は、日頃からつながりの深い縁故者との信頼関係がベースとなり、これを活用できるかどうかは、経営者の情報開示姿勢にかかっているのではないでしょうか?
なお、縁故債でなく、通常の私募債であれば、発行できる条件は、純資産10億円以上・担保有等、厳しくなります。しかし、信用保証協会の保証が受けられれば、純資産条件が5億円に緩和されます。
また、自治体による中小企業支援の例として、文京区では、来年度から所定の用件を満たす私募債については、利子補給を行う予定です。このように、公的機関が私募債発行をバックアップするケースもあります。