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 第一連載 「失敗しない経営者・管理職はここが違う」

            「第三章 マーケティングで営業力アップ」

              3−3 顧客のニーズ・ウォンツを探そう

         経営コンサルタント グロマコン 代表取締役 今井 信行

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■ ニーズとウォンツ

 ニーズとは、「人間が生活していく上において必要なのだけど、それが不足・
欠落している状態」のことをいいます。

 例えば、パソコンにはディスプレイがついていなければ使えないと言えます。
CRT式のディスプレイを使っていて、どうも目が疲れると感じている人は、液
晶ディスプレイに対して潜在的なニーズをもっていると言えます。

 それに対して、「液晶ディスプレイは表示がきれいで、チラつきも少ないな」
と考えている人は、顕在的なニーズをもっていると言えます。

 液晶ディスプレイを見て、「液晶ディスプレイは表示がきれいでチラつきも少
ないので欲しいな」と考えている人は「液晶ディスプレイに対してウォンツがあ
る」と言えます。

 すなわち、「ウォンツとは、ニーズを満たす特定のものが欲しいという欲望」
のことです。


■ 顧客のウォンツを探そう

 飽食の時代といわれるようになって久しくなりますが、家は物であふれ、人はほ
しい物が、「見えるモノ」から「見えないモノ」、すなわちサービスへと目が移
ってきました。

 フランス料理の高級レストランに人が行くのは、おなかがすいたから行くとと
言うよりは「高級な○○レストランで本場仕込みのシェフによるフランス料理を
食べた」と人に言いふらしたかったり、自分は高級レストランへ行けるだけの収
入があるのだと自己満足するためと言っても過言ではないでしょう。

 空腹というニーズを満たすためだけならほかほか弁当でもよいわけです。人に
認められたいという気持ち、ウォンツが高級レストランに足を運ばせるのです。


■ 企業におけるニーズとウォンツ

 企業でも同様で、コンピュータ業界の営業はかつてはハードを売り、ついでに
ソフトをただ同然で売ってきました。しかし今日まさに見えないモノ、ソフトウ
ェアやサービスを売るのが仕事です。

 その意味ではどの企業もコンピュータを使って、ほしい情報を入手したり加工
したいという考えで、企業ではニーズがあるのです。

 一方でそのニーズを満たせる人材が社内にいない企業が多く、それを実現する
ために外部から入手しようとするウォンツがついてきているのです。「アウトソ
ーシング」というニーズが高まり、それを導入する企業が増えている傾向も時代
のニーズ・ウォンツの変化といえます。


■ インテンションからアクションへ

 営業パーソンは、ニーズを持った顧客を見つけ顧客の必要性意識を高め、ほしい
という「インテンション」を強くし、注文書を書かせるという「アクション」に
つなげるのです。この一連の活動を支えるのがマーケティングです。

 先の液晶ディスプレイに対してニーズをもっている人が見込み顧客、ウォンツ
をもっている人がウォーム顧客です。ウォーム顧客に「液晶ディスプレイを買い
たい」と思うように誘導すると、その顧客は「液晶ディスプレイに対して買いた
いというインテンション(意図)をもっている」と言えます。インテンションを
もっている顧客を「ホットなお客様」といいます。

 しかし、まだこの段階では、自分の会社から購入してくれるかどうかわかりま
せん。自分の会社に対して顧客から注文書を発行していただいてはじめて受注、
すなわち「アクション」につながるのです。


■ マーケティングの4P

 商談というのは、顧客のニーズを引き出し、購入させるという誘導なのです。
その段階で、人間が介在するのが「狭義の営業」、それ以外を「狭義のマーケティ
ング」と言えます。

 購買までの一連の活動の中核をなすマーケティング活動がプロモーションです。
プロモーションにはPで始まる4つの要素があります。

Product 商品
Price   価格
Place  流通経路
Promotion 販促・広告

 これをマーケティングでは「プロモーション戦略の4P」と呼んでいて、これ
を戦略的に使うことにより営業戦略が成り立つとも言われています。


< 次号に続く >

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