経営者・管理職とコンサルタントの交流サロン

メールマガジン 発行にあたって

         No. 008   December 15, 2001


    経営者・管理職の悩みを解決する

  経営コンサルタントの実務情報

  経営コンサルタントになりたい人の情報







■■■ も く じ ■■■

  ◆ 第8号発行ご挨拶

  ◆ 第一特集 「失敗しない経営者・管理職はここが違う」
       「第二章 ベクトルをあわせて全員営業で営業強化」
          2−2 中長期経営計画も経営理念を踏まえて

  ◆ 第二特集 グロマコン経営指南 
          ナレッジマネージメントによる商品開発のスピードアップ 

  ◆ 第三特集  知っていて得する経営情報
          融資のための与信格付(A信用金庫の場合) 
  

 
 アメリカに出張してきました。
 ニューヨークのあの惨事は、まだわれわれの記憶にも新しいのですが、アメリ
カのあちこちに、供養のためのモニュメントが作られていました。
 あの惨事は、日本も対岸の火事と傍観しているにはあまりにも身近な問題のよ
うに感じられました。

 今年も余すところ半月となり、私どものメールマガジンも今年の最後の発行と
なります。
 経営者・管理職の方々にお役に立つだけではなく、経営コンサルタントなど経
営に関わる専門職の皆様にもご参考になる情報を提供し続けたいと考えています。



連  載 失敗しない経営者・管理職はここが違う


第二章 ベクトルをあわせて全員営業で営業強化
 2−2 中長期経営計画も経営理念を踏まえて


         経営コンサルタント グロマコン 代表取締役 今井 信行



 前号から第二章に入りました。
 第二章は、「ベクトルをあわせて、全員営業で営業強化」で、サブタイトルが
「期間・年間スパイラルと長期計画」です。

 その第一回目として「全社のベクトルをあわせよう」と題して述べてきました。
それを要約すると、以下のようになります。

 企業は永続的でなければならな。企業がゴーイング・コンサーン(永続性)た
るべきところに企業の社会性・公共性・公益性があります。
 ゴーイング・コンサーンであるためには、企業理念に基づく計画が必要です。
計画が悪ければモラールは下がります。正しく立案された計画は上位計画との
整合性が取れています。
 計画の建て方が悪いと全員営業は不可能です。









■■■ 常に上位計画をにらむ ■■■


 計画は、経営者の考え方すなわち経営理念に基づいていなければなりません。経
営理念というのは登山でいえばどの様な山に登りたいのかという登山家の持つ夢
であり、理想です。この夢を社員全員に、また企業外の人にわかるようにしたも
のが社是や社訓であるわけです。

 その夢を実現するためには、どの山に登ったら良いかを決めることが経営方針で
す。これには基本方針に基づく年度方針、部門方針があり、各々の社員が目標を
持ちます。この目標をいつまでに、誰が、何を、どのように実施するかが経営計
画です。

 短期経営計画は、中・長期経営計画の一部ではあるものの、企業は生き物で、常
に変化をしている以上、必ずしもそれに固執する必要はないですし、かといって
中・長期計画が毎年変化するのであれば、それは遊びでしかありません。

 中・長期計画の立案は市場分析すなわち高度なマーケティング技法が必要となり
ます。中小企業はおろか大企業においても高度なマーケティング技法を心得た優秀
な人材をそろえている企業は少ないのです。



■■■ 計画実現に全社ベクトルをあわせる ■■■

 しかし、マーケティング技術は、ある程度の標準化がなされれば一般企業でも充
分可能ですし、中小規模の経営体では高度なデータ分析などしなくとも充分で、
スパイラル・マネジメントの考えかたに則れば必要最低限のデータは社内だけで
も集まります。

 その実現の基礎が既述の通り、全社のベクトルあわせなのです。ご存じのように
AとBの合力は、 それぞれのベクトルの和です。一つ一つの力を大きくすれば合
力も大きくなるかもしれません。しかし一人一人の力を大きくすることは大変です。

 ですから、合力を大きくするためには、ベクトルの方向をあわせることです。
スパイラル・マネジメントをまわしながら各自が一人一人の力を大きくし、ベクトルを
あわせれば全体の力は大きくなるのです。3CA‘sの「共通」というのはベクトル
あわせの基本であることを再認識してください。

 3CA's とは、当メールマガジンの第3号でご紹介しましたが、「共通目標・
共通認識・共通行動」の英語の頭文字をとったものです。目標(計画)を全社に
徹底し、その目標に従って全社一丸となって目標(計画)の実現に邁進する重要
性のことです。


◆ 予告

 「第二章 ベクトルをあわせて全員営業」、その3回目として「2−3 なぜ業績を
上げるマネジメントができないか」をお送りする予定です。



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               第二特集 グロマコン経営指南 

         ナレッジマネージメント(情報の共有化)による
      商品開発のスピードアップ  < 20年前の経験より >


                経営コンサルタント 久崎 力 氏

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       久崎先生は、大手総合電器メーカーに長年おられ、現場から営業
      部門、海外子会社などでいろいろなご経験を積んでから、経営コン
      サルタントとしてご活躍中です。
       幅広い知識と経験を活かし、製造業を中心にご指導をなさってお
      ります。



 インターネットが普及し、顔を合わせての会議が少なくなっている、今回は"集
合会議"の重要性を実例を用いて紹介します。


■■■ 事前検討は集合で実行は掲示板で情報の共有化を ■■■


 ■ 背 景 ■

 当時、私は大手総合電器メーカーに在籍していた。技術開発が一段落し、ある
通信装置の小型化が受注獲得のポイントになっていた。市場のニーズに合わせる
には、その当時、商品化されていたサイズより20〜30%の小型化では不充分で、
大きさを半分にしなければならないという大命題であった。

 これは古い装置をリプレイスする際に、2台が設置出来、通信事業者には大き
なメリットであった。これを実現するためには、主要デバイスの小型化が不可欠
となり、まだ何処にも実用化例の無い製品の開発にチャレンジする事になった。

 この開発には化学、冶金、電子、通信、半導体、金属加工等の技術者の知恵と
経験が必要で、しかも期間は限られていた。


 ■ 方 策 ■

 この様な場合、プロジェクト化が常套手段であるが、開発期間が短い為、最初
に前提(仮定)を集合会議で決め、これに基づき化学から金属加工の技術者に並
行してそれぞれの作業(プロセス)を実行させた。

 ここで前提は毎朝のミーティングで決める事とし、各自の分担を確認し、それ
を全員に周知させた(情報の共有化)、そして常に平行しているプロセスのどこ
かに問題が起こった時(予定していた結果が出ない時)、直ちに全員を集め、新
たな前提(仮定)を再検討した。

 この様に Plan-Do-See の中で何か不都合が生じた場合、各自のプロセス(作業
)をリセットし(振出しに戻し)直ちに新しい方策に切り替える事ができた。

 この課程を繰り返し、当初1年以上と予想された製品化期間を3ヶ月(驚異的)
に短縮できた。現在に置き換えるとそれぞれの進捗状況をWeb掲示板に載せるか
E-mailでメンバーに知らせる方法を取るであろうが、これはプロセスの実行段階
では有効であるが、各自がどの様な前提(仮定)でプロセスを実行するかはやは
り関係者が集合して検討する事が不可欠であろう。

 以上が、関係者集合しての検討(情報の共有化)と各自の進捗状況の確認(情
報の共有化)が製品開発期間の短縮に大いに役立った事例である。

 これは、私の20年前の経験であるが、関係者集合してのプロセスの事前検討と
情報の共有化をミックスし、製品を早く市場に供給出来た方策はインターネット
が普及した現在でも充分適用できると確信している。

  (参照) 本マガジン 第6号 「早朝会議」の勧め



【 メールマガジンコメント 】

 多少のかげりは見え始めてはいますが、日本の製造技術の高さは、今日でもま
だまだ世界のトップ水準を行っているといえます。
 大きさを半分にするということは、並大抵の努力では実現できないでしょう。
その実現の背景に Plan-Do-See という昔からの基本的な手法が使われているとい
うことは驚きです。
 また、今日の便利なツールであるグループウェアなどの電子ツールに頼りすぎ
ないようにという警告でもあります。



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            第三特集 知っていて得する経営情報 

         ◆ 融資のための与信格付(A信用金庫の場合) ◆

                税理士   谷澤 佳彦 氏

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     谷澤佳彦先生は谷澤佳彦税理士事務所の所長で、税理士業
    を中心にご活躍中です。
     また、最近はBUN-NET異業種交流会でも中心的な役割を演じ、
    社会奉仕的な活動も積極的になさっております。



 「税理士とA信用金庫の交流会」という名目のセミナーがあり、A信用金庫側か
ら、貸出先への与信格付についての説明がありましたので、お知らせします。


1. 都市銀行と信用金庫の違い


@ 都市銀行の貸出先評価:主として財務内容による定量分析が中心

                =マチの中小企業の殆どは破綻懸念先以下の評価となる


A A信用金庫の貸出先評価:

    財務による定量分析 + 経営者の資質等の定性分析

    @定量分析:決算書を中心に評価

              財産は全て時価評価します

      注)信憑性の無い決算書=手書き(今の時代にあり得ない)

                         税務署の収受印の無い決算書(本物かどうか疑わしい)

    A定性分析:事業環境

             代表者個人の人柄・財産

             取引評価=担保保全度、代表者一家個人との取引内容  等

2.ランク付の際の関心事

     E ランク か?  F ランク か?

     ↓          ↓

    第U分類      破綻懸念先=決算時に貸倒引当金50%計上


3. A信金の融資姿勢

@ 中小企業は自己資本(=資本金+過去の累積利益)が少ないので、
   融資せざるを得ない(場合によっては無担保もOK)

A 一方、リスクに見合った金利は要求する

              ↑

    事業再建の目途が無いのに貸す=背任行為

    正常債権が欲しい、悪くとも要注意先(経営計画有)

 懇親会で審査部長と話をしましたが、いずれにせよ、「中小企業には事業計画書を
重要視せざるを得ない」、また、「社長がその計画書を説明できることが重要」とのこ
とでした。




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