経営コンサルタント歴40年余の経験を活かしてお手伝いしています 
 あたりまえ経営のきょうか書

中堅・中小企業の外部ブレイン活用編



 「あたりまえ経営のきょうか書」は、「時代即応企業創りを目指して企業体質”強化”する”教科書”」として、経営コンサルタント歴40年余の実体験から、そのノウハウをご紹介いたします。

 企業経営者や管理職だけではなく、経営コンサルタントや士業の先生方にも参考となると信じています。
 

 
“真”のプロが実践している発想法と行動術
あたりまえ経営のきょうか書

中堅・中小企業の外部ブレイン活用編

■ 4 外部ブレインを使いこなせなくて経営者・管理職といえるか


 中小企業にとりまして、経営コンサルタントは不要なのでしょうか?

 税理士の先生がいらっしゃれば、経営コンサルタントは不要なのでしょうか?

 時には、「経営コンサルタントというのは、料金が高いだけで、何をしてくれるのかわかりません」という声を聞くこともあります。


 残念ながら、日本では、まだまだ経営コンサルタントの存在に対してご理解をいただけていません。中には、経営コンサルタントに対して、「いかがわしい商売」と思っていらっしゃる方もいます。

 少しでも、経営コンサルタントという職業をご理解下されるように、徒然に書いてみました。ご理解いただければ幸いです。

 なお、経営コンサルタント・中小企業診断士を目指している人、すでに独立起業している先生、経営コンサルタント以外の士業の先生方にも、合わせてお読みいただけますと幸いです。


 
■ 4-3 社員研修で人財を効果的に育てる
 

 社員研修は、むやみに実施しても費用が増大するばかりです。
 
 少ない費用で、効果を高めるにはどうしたらよいのでしょうか。経営コンサルタントである立場を忘れて、そのノウハウをご披露いたします。
 
 


4-30 【経営支援】 社員研修で人財を効果的に育てる コンセプト創り


 経営コンサルタントは、その度合いにばらつきがあるものの誰もが社員研修を手がけていると言っても過言ではありません。逆に、社員研修の講師が全て経営コンサルタントであるともいえません。
 
 経営コンサルタントの善し悪しを判断するのはなかなか難しいですが、長いつきあいをしたい場合には、試験的に社員研修を依頼してみる方法がよいでしょう。
 
 社員研修を依頼しますと、その経営コンサルタントの専門分野や仕事の仕方や考え方、人柄や取り組み姿勢などを体感することができます。その上で、既述のように信頼できる経営コンサルタントかどうかのチェックポイントを確認すれば最適な経営コンサルタントを見つけることができるかもしれません。
 
 
 景況指数上は改善しているとはいえ、厳しい経営環境が続く中で、言い古された「少数精鋭主義」という考え方が再評価されています。
 
 企業が持っている経営資源には限界があります。この限られた経営資源を有効活用することが、今日の経営の重要な課題です。既述のように経営資源の良質化が重要な経営課題の一つです。その中でもとりわけ「ヒト」という経営資源の重要性を無視することはできません。
 
 労働の流動性が高まり、中小・中堅企業でも質の高い労働力を入手することができるようになってきました。その反面、社内の中枢にいる人たちが流出するというマイナス面も否めません。常に、限られたヒューマンパワーで企業運営を迫られていますので、一人一人の生産性を向上させることが必要です。
 
 生産性を高めるためには、労働力の質の向上が求められ、すなわち企業は社員研修を継続的にやらざるを得ません。
 
 ところが、一方で「雇用の流動化」で社員を教育してもすぐに辞めていってしまうという悩みがあります。かといって、愚痴を言っていても始まりません。社員が辞めていくということは、その企業に魅力がないからです。企業に魅力を持たせるには、経営資源の良質化、すなわち「経営品質」を高める必要があります。
 
 既述のように「ヒト」という経営資源を良質化するためには、良質な社員を採用することと、手持ちの社員を教育していくという方法があります。そこで上述のように社員研修がクローズアップされてきているのです。
 
 社員研修が重要視される今日、企業の研修担当者とお話していて気になることがあります。年
 
 度予算の季節になりますと、「来年度は社員研修として何をやろうかな」と悩み、自分たちで判断して、カリキュラムを作り、それにあわせて講師を捜すというパターンです。これでは研修が付け焼き刃的になり、せっかく大金を予算化しても、その効果はそれに見合わないことが多いでしょう。
 
 まず、研修はどのようなコンセプトで実施するのか、それを明確にし、そのコンセプトに基づき社員研修の体系作りをする必要があります。その体系に基づき、中長期教育計画を立て、その計画の中で来年度は何を行うのかを決定します。これを基に継続的に実施すれば、社員全体に凸凹が少ない、公平な機会を与えることができるのです。
 
 では、社員研修のコンセプト・カリキュラム作り、講師の選定や運営をどのように進めていったらよいのでしょうか。社内にその専門家が少ないこともあり、 大手企業ですらその多くが、自律できるまで社外に研修をアウトソーシングしているようです。その場合、ほとんどのケースが大手研修機関に委託しています。
 
 研修機関は、繰り返し研修依頼を受けることにより、ビジネスが成り立ちます。また、研修機関が持っている手持ちのトレーナの都合に合わせて年間スケジュールを立て、実施しています。ここには、委託企業の意向が入っているようで、実はそうではないことが多いのです。
 
 コンセプト作りは、「研修」という一端だけで決めるのでは、全体のバランスを欠きかねません。企業全体を見渡し、企業理念・中長期経営計画などを勘案して行うべきなのです。それには、常に企業全体を把握していて、なおかつ社員研修に実績のある経営コンサルタントに相談するのがよいでしょう。
 
 
 
 
4-31 【経営支援】 経費を抑えて効果を高める社員研修のカリキュラムづくり


 研修には、OJTとOffJTの方法があることはよく知られています。
 
 OffJTとは、Off the Job Trainingの略で、社員研修というとこちらをイメージする人が多いでしょう。業務に直接携わらない時間帯に、研修講師から、研修室で座講を受けたり、ロールプレイングなどの演習を行ったりする方法です。情報の収集、知識の習得や基本動作を学ぶには、最適な方法といえます。
 
 それに対して、OJTはOn the Job Trainingの略で、業務を通じた教育です。
 
 ところが、研修コンセプトや体系がきちんとできていませんと、年度経営方針やOJTとOffJTがバラバラで、投資対効果が上がらないという問題を抱えている企業が多く、「社員研修は金食い虫」と決めつけられることすらあります。

 
 

 社員研修は、全社員に公平に機会が与えられ、全体的に、かつ効果を上げるために重点的にという問題を抱えています。それととともに、継続的に実施したい、しかし費用や時間をかけたくないという矛盾など多くの問題をはらんでいます。
 
 受講により、モチベーションが高まり「研修で修得したことを活用し、さあこれからがんばろう」と意気揚々と職場に戻ってきても、周囲にいる人たちは相変わらず以前と同じような低い意識で仕事をしています。受講した人が、それを見ていますと幻滅し、受講で高まったモチベーションは急速に低下してしまい、以前と同じ状態に戻ってしまうのです。
 
 かといってそこで教育を中断してしまいますと、それまでの投資が水泡に帰してしまいます。
 
 そこで、企業は「研修部門」や「研修担当者」を設けて社員研修を必死に継続し、モチベーション維持を図ろうとします。その結果、社員研修に力を入れている企業の多くは、「研修麻薬症候群」に罹ってしまいます。
 
 研修をやらないと社員のレベルを維持できないような錯覚に陥ってしまっているのです。研修麻薬症候群に罹りますと、研修予算を潤沢に使うようになります。そして「わが社は社員研修に熱心な会社である」と自己満足に陥り、ますます研修麻薬症候群から抜けられなくなります。
 
 研修麻薬症候群に罹らないためには、「社員研修コンセプト・研修体系」作りに続いて、研修をやらなくても日常の管理を通じてできる仕組み作りが必要です。
 
 この仕組みを「管理設備」と筆者は呼び、この設備ができれば、管理職は部下が仕事をしやすい条件を整え、部下が自己管理を通して、日々の仕事を自信を持ってこなすことができるようになります。すなわち、OJTを通じて社員を教育していくことができるようになります。その結果、OffJTを減らすことも可能となります。
 
 企業の研修担当者の中には、「OJTの進め方を研修の場で学んでも少しも効果が上がらない」とおっしゃる人がいます。それは、OJTを知識として学ばせようとするからです。OJTは、管理設備を使うことにより「管理職の管理」や「自己管理」を心と体で覚えさせることにより、研修だけでは一過性で終わりかねない効果を持続させることができるのです。
 
 
 この管理設備をきちんと使える企業体にするには、それを使うおおもとである管理職の意識が変わらなければなりません。
 
 そのために、管理職研修をまず見直す必要があります。管理職の「管理とは何か」から始めます。
 
 「管理」という言葉は冷たいイメージがつきものですし、企業経営において、難しい管理論よりは実務的な「管理」の理解が重要です。管理職における管理というのは、部下が仕事をしやすくなるように条件を整えたり、他部門と仕事をスムーズに運べるような環境を整えたりすることです。
 
 すなわち「管理とは、仕事をしやすい環境・条件作り」ということで、管理とは温かいものなのです。ちなみに、社員における自己管理は、「自分自身の仕事をしやすいように条件を整える」ことです。
 
 このように管理職研修は「温かい管理」とは何かをきちんと心と体で理解させることが、管理職研修のカリキュラム研修には重要なのです。
 
 
 
 
4-32 【経営支援】 経費を抑えて効果を高める社員研修のカリキュラムづくり


 図は、管理職研修のカリキュラム例です。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


 「管理の基本はP-D-C-Aである」としばしば言われますが、管理職の管理という業務というのは、独立した一つのプロジェクトの場合もありますが、実務的には連続する実務の繰り返しと筆者は考えています。
 
 すなわち、管理職の管理は「P-D-C」と考えています。単独に独立したプロジェクトであればPlanしたことをDoし、それをCheckした結果に基づき、AすなわちActionを実行するデミングサイクルが成り立ちます。
 
 ところが、管理職の連続する実務においては、Checkした結果、次の行動を起こすためにはPlanを立案する必要があります。そのPlanは最初のPlanであるP0ではなくPになり、Dにつながるのです。そして、さらに次のP-D-Cへと連続し、業務が改善し拡大してゆきます。
 
 このようにして発展していく、すなわちサイクルではなくスパイラルになるのです。そのスパイラルも拡大していくことが企業の発展に繋がるのです。
 
 管理職が一般的に言われているデミングサイクルの意味を間違えて理解している過ちをただすことが、管理職の実力を発展することになり、ひいてはそれが企業の発展につながります。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


 ここでは、一般的なPDCAではなく、P-D-Cと表記しています。その具体的な理由は、当該します「PDCA+s/a」の項をご参照ください。そちらを読んでくださりますと、経営コンサルタントによっては独自性ある考え方を持っていることにお気づきと思います。
 
 では、本論に話を戻します。
 
 発展的P-D-Cの話を私がし始めますと「今更P-D-C-Aでもあるまい」と莫迦にする人が多いのですが、「あたり前のことをあたり前にできる」ように変革を進めていくのが管理職の仕事であり、それを徹底して、部下があたり前のことをあたり前にできるようにしてゆくことが管理職の管理と考えています。
 
 





 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 また、最近はP-D-C-Aというように言い換えられていますが、ふるくはPlan-Do-Seeと言われてきました。しかし、さらに突き詰めて考えてみるとPlanをたてるといいましても、いきなりたてることができるわけではなく、PlanをたてるためのP-D-Sが必要です。すなわち持続的な管理業務におけるデミングサイクルは、「P-D-C」+「S/A」という形にし、P-D-Cの各段階で実行計画Schedulingを立て、調整Adjustingをすべきで、それを既述の発展的P-D-Cに結合して管理を行える企業作りが必要です。
 
 デミングサイクルのように、一般的に当然と思われるようなことでも、それが実情に即さなければそのまま形だけを導入するのではなく、独自の考えをもって企業支援をするのです。
 
 すなわち、経営コンサルタントは、既製服というお仕着せの経営手法を企業でそのまま使うのではなくて、経営陣と意思疎通を図りながら、依頼企業の全体最適を考え、最適と考えられる経営手法を創り出して、それをもとに経営支援を行ってくれます。
 
 たとえば管理職研修においては、既述のような既存のカリキュラムをそのまま適用するのではなく、依頼企業の現状に即した研修コンセプトを明確にして、そのコンセプトをもとにその依頼企業だけに特化した研修目的を構築し、それに基づいたカリキュラムが作成されるのです。
 
 A社とB社とでは当然抱える問題点も異なれば、企業が目指す方向も異なります。企業が目指す方向や目的を着実に達成するためには当然それに即して採るべき方法論も異なってくるのです。
 
 換言しますと、どの企業においても同じカリキュラムを、社名だけを変更して研修を行うような経営コンサルタントであれば敬遠すべきです。
 
 



4-33 【経営支援】 営業研修に見る社員研修の事例


 PDCAを例に、研修の基本的な思想について書いてきました。同様に部門別の経営支援においても方法論は異なってきます。
 
 たとえば、営業部長が自分の役割をきちんと担っていませんと、「営業は足で稼ぐ」という言葉を鵜呑みにして、その思想を基本にして部下管理をしてしまい、自分も営業パーソンと同様に受注や売上、納品や代金回収に東奔西走してしまい、その結果、無管理状態になり営業効率も上がりません。
 
 その様な会社の営業部門では、受注活動の進捗状況を時系列的に把握し、その進捗状況を見ながら、管理職が担当者にアドバイスをし、受注確率を高めていくのです。そして、最終的には注文にたどり着き、納品・売上を行い、アフターフォローから次の受注に結びつけていきます。この繰り返しが、「自分のお客様」として固定客化し、受注・売上が安定的に伸びていきます。
 
 その基本は、顧客別に営業活動方針を明確にすることです。それには、経営計画に基づき、管理職の部門方針を明確にする必要があります。その部門方針をもとに、各担当者が自分の行動方針を明確にし、それに基づく行動計画を立て、それに基づき実施し、結果を確認するのです。

 










 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 しかし、現実にはそれを実行し、効果を上げていくことはそう簡単ではありません。それを持続していくためには持続的効果を上げる仕組みが必要です。
 
 この仕組みを「管理設備」といいます。営業部門における「管理設備」とは、営業部門長の方針・計画、担当者の個別営業方針と行動計画、そして実際に行動したときの記録と、それに基づく報告書である「営業日報」などがそれに該当します。
 
 「営業日報なら使っていますが、あまり効果はありませんし、日報を書く時間があるなら、一件でも多くの得意先を回りなさい」ということをしばしば耳にしますが、これは「温かい管理」ができていない証左なのです。
 
 すでに営業日報をフル活用できている企業で、いまさら営業日報でもなかろうという会社では、さらに一歩上を目指してみましょう。基本は営業日報ですが、営業日報の中から自社の営業ノウハウを導き出し、それを日常業務に使いながらさらに一歩上を目指す仕組みです。
 
 
 これを総合的に行うコンピュータのシステムが、SFA、Sales Force Automationと言えます。
 
 残念ながら、中堅・中小企業はおろか大手企業でもSFAをきちんと使いこなせていないのが現状ですし、中にはSFAは陳腐化されたシステムであるという人もいます。それは使い方に問題があることが多いのです。中小企業でも元気な会社は、経営コンサルタントの支援を受けてOJTとリンクして業績に結びつけています。

 
 









 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
4-34 【経営支援】 社員研修の講師の選び方


 雑誌やインターネットを見ますと、日本各地で、毎日何十何百という講習会・研修会・講演会・セミナーなどと呼ばれる企画が行われているのがわかります。企画する側にとっては、信頼できる講師を捜すことは大変難しいことです。どこへ行ったら講師を捜すことができるのかという問題もあります。
 
 社員研修と企業イメージ高揚を目的とする講演会などでは、講師選択の基準が異なることをまず理解しましょう。
 
①社員研修向きの講師選び
 
 社員研修は、長時間一つの共通テーマについて行うことが多いでしょう。受講者を飽きさせず、受け身だけの講義では飽きてしまいます。
 
 しかも、実務に直結させる必要があります。すなわち社員研修の講師は、実務、特に現場をよく見ている人を見つける必要があります。社員研修を専門にやっている、「トレーナ」は話も上手な人が多く、研修担当者が安易に依頼をしがちですが、実務経験に乏しく、理屈の世界が中心であるために、その分野で毎日もまれている受講者につっこまれるとすぐにぼろが出てしまうような講師もいます。
 
 ある経営者は「社員研修講師選びのポイントは、プロフィールにある肩書きや実績より、現場を重視する姿勢である」と言っています。これは、経営コンサルタントの視点から見ても頷けます。
 
②講演会向きの講師選び
 
 講演会は、聴講者が新しい知識や情報をもとめて出席してきますので、この目的に適した講師を選ぶべきです。常に先端的な、普通の人より一歩前を行く人、特定のテーマにじっくり腰を据えて研究している人などから選ぶべきでしょう。著名人やシンクタンクなど「○○総研」というようなところに講師依頼をすることが多いようですが、知名度より目的に即した内容を語れるかで決めてはどうでしょうか。
 
 では、講師の善し悪しを見分ける基準として、どのようなことに気をつけたらよいのでしょうか。
 
 企業の研修担当者が講師選びの時に条件とすることとして、次のようなことが多いのです。
   1.普通と違う内容・テーマを持っている人
   2.話し方が上手な人
 
 講演会など、短時間なお話をお願いするようなときには、これらは重要な要素です。しかし、社員研修の場合には、これらも重要ですが、やはり講師のバックグラウンドを重視すべきでしょう。
 
 筆者が知っているある講師は、一度契約すると何年も同一企業での講師の担当を続けている人がいます。その人は、どちらかというと立て板に水というような流暢な話し方ではありません。しかし、終了後の受講者からのアンケートを見ると圧倒的な支持を得ています。
 
 彼は、経営コンサルタントとして企業の顧問としての経営指導が中心で、現場を非常によく見ています。ですから、話の内容が単なる知識の切り売りではなく、現場の事例を中心とした話なのです。話し方は訥々としているのですが、それは訥々ではなく、咬んで含んだ話調ですので、受講者は内容を充分に咀嚼できる話し方となり、その結果、受講者がきちんと理解できるのです。
 
 有名な講師にありがちな、高いところから「教えてやる」という態度ではなく、自分が持っているものを全て受講者に吸い取って欲しいという強い願望を持った接し方なのです。講師の善し悪しの判断におけます最後の決め手は「講師の人間性」にあると言っても過言ではないといえます。講師の歩んできた道からにじみ出る話には自然と吸い込まれていきます。
 
 それが結果的に受講者の共感を呼び、また内容も実務に即していることもあり、研修後もその内容を以下に実務に活かすかという姿勢が持続し、結果に繋がるのです。すなわち費用対効果の高い講師といえますし、それが講師選びの基本とも言えます。
 
 
 


4-35 【経営支援】 社員研修の費用と効果の上げ方


 それでは、講師を依頼するとどのくらいの費用がかかるのでしょうかということについて、みてゆきましょう。
 
 経営コンサルタントの費用と同様で大変難しい問題です。講師料の相場も、あるようでいて、ないのが実状と言えます。
 
 ある企業の研修担当者が「企業のリスクマネジメント」について講師を捜していたら、最初に目についた人が「一日5万円です」という回答でした。とろこが、研修専門企業に見積もり依頼をしたら「2時間で10万円、あとは1時間ごとに3万円です」という見積書が届けられたそうです。
 
 そんなところに偶然にその研修担当者のところに売り込みに、あるコンサルタントが来たのでリスクマネジメントに関する研修をお願いできるかと話をしたところ、「5000円と交通費実費で結構です」という答えが返ってきたそうです。
 
 このようにばらつきが大きいことが現状です。単発的に講師依頼をするのではなく、研修コンセプトや体系を重視して講師選定をします。講師料金体系が、「基本料金+時間×時間単価」というように明確になっている人は、一般的には実績もあり、選定の目安にもなります。
 
 講師を依頼するには、どのような考え方の基に、どのような内容を、どのようなレベルの受講者に対して、どのくらいの時間、どこで実施するのかをきちんとしてから決めるべきです。もし、予算枠がある場合には、「予算は○○ですが、それに適した講師はいるでしょうか」とぶつけてみますと、受ける側がそれに応じた講師を見つけてくれるでしょう。
 
 中堅・中小企業などが行う場合には、事情を話しますと、基準より遙かに安い費用で引き受けてくれる人情的な講師もいますので、はっきり条件を述べるのがよいでしょう。
 
 一般に、テーマの難易度・一般性、受講者層、受講者人数、期間・時間・時期などで異なります。しかし、もっとも費用に影響するのが講師の知名度や力量です。ただし、力量は必ずしも講師のいう費用に比例しないことも研修担当者泣かせです。
 
 
 社員研修は、正しいやり方をしていれば成果が上がるものですが、既述のように「金食い虫」になっている企業も結構あります。社員研修を実施し続けているのに効果が上がらないというときにはどのようにしたら良いのでしょうか。
 
 その主な原因分析として、まず下記の2点をまず再チェックしてください。
 
1.研修・教育と実務管理がリンクした体系になっているか
2.研修講師が実務をきちんと理解しているか
 
 既述の通り、研修体系が実務とかけ離れていることがその原因となっていることが多いのです。OJTを行う「管理設備」を使いこなすことを目的とする研修はOffJTで実施すべきですが、社員研修専門企業から派遣された講師の場合には、業務現場に直結することに視点が行っているわけではありません。
 
 すなわちニーズ思考というよりはシーズ思考で、お仕着せのカリキュラムで社員研修を実施しているがために、管理職と一般社員のベクトルがあっていませんし、また、研修内容とその企業にニーズと異なる目的のカリキュラムになってしまっていることが多々あります。
 
 既述の通り、とくに外部研修に派遣するときに多いのが、受講する人としない人が同じ会社内に共存するために、受講した人はモチベーションが上がっていて、そうでない人とギャップがあり、いつの間にか後者の色に染まってしまうことが多いのです。
 
 社員研修は、同じベクトル上で、階層別、部門別に組んだカリキュラムで、実施をしますと、同じベクトル上にありながら、階層別の研修と部門別の研修ではやり方が異なるので修得率や意識高揚への効果が高まるのです。
 
 講師の側に問題があることもしばしばあります。記述の通り、一般的には社員研修の講師は、「トレーナ」と呼ばれる、社員研修専門の講師に依頼しています。しかし、社員研修専門の講師は、実務経験が少なく、理論が先行してしまうケースが多く、受講者側が知識として取り入れるだけで、「感性的受け入れ」ができていないからです。感性的受け入れができていないというのは「仏を作って魂入れず」の研修となっているからです。
 
 実務、即ちOJTにリンクさせるためには、社員研修専門の講師ではなく、企業に入り込んで実務指導経験豊富な顧問型のコンサルタントに社員研修をしてもらうのがよいでしょう。
 
 
 社員研修で効果が上がらないときには、医療の世界で言う「セカンドオピニオン」方式を取り入れて、経営コンサルタントなど第三者に研修体系を診断・チェックしてもらうことをお勧めします。
 
 社員研修も顧問契約などのコンサルタントの利用・活用法やさらにその効果を上げるためには、コンサルタントにもいろいろな専門分野があることを再認識してください。最適なコンサルタントを探すのは結構難しいこともおわかりいただけたと思います。知名度よりは各企業の目的に即したコンサルタントに依頼することがポイントであり、それには信頼できる団体や組織から紹介を受けることが一つの方法といえます。
 


 

 
 
 
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