|
|||||
中堅・中小企業の外部ブレイン活用編 |
|||||
「あたりまえ経営のきょうか書」は、「時代即応企業創りを目指して企業体質”強化”する”教科書”」として、経営コンサルタント歴40年余の実体験から、そのノウハウをご紹介いたします。 企業経営者や管理職だけではなく、経営コンサルタントや士業の先生方にも参考となると信じています。 |
|||||
“真”のプロが実践している発想法と行動術
「あたりまえ経営のきょうか書」
中堅・中小企業の外部ブレイン活用編 |
|||||
■ 4 外部ブレインを使いこなせなくて経営者・管理職といえるか 中小企業にとりまして、経営コンサルタントは不要なのでしょうか? 税理士の先生がいらっしゃれば、経営コンサルタントは不要なのでしょうか? 時には、「経営コンサルタントというのは、料金が高いだけで、何をしてくれるのかわかりません」という声を聞くこともあります。 残念ながら、日本では、まだまだ経営コンサルタントの存在に対してご理解をいただけていません。中には、経営コンサルタントに対して、「いかがわしい商売」と思っていらっしゃる方もいます。 少しでも、経営コンサルタントという職業をご理解下されるように、徒然に書いてみました。ご理解いただければ幸いです。 なお、経営コンサルタント・中小企業診断士を目指している人、すでに独立起業している先生、経営コンサルタント以外の士業の先生方にも、合わせてお読みいただけますと幸いです。 |
|||||
■4-1 経営コンサルタントという職業を知っていただく
外部ブレインとして、経営コンサルタントという職業を知りますと、その活用法が見えてきます。 「投資対効果」を考えますと、プロの経営コンサルタントを活用することがおすすめです。しかし、プロの経営コンサルタントを見つけることは、意外と難しいことです。 自社に即したプロの経営コンサルタントを見つけて、ご活用され、成功企業・元気な会社・頑張る社長になって下さることを記念します。 ■4-01 【経営支援】 時代は経営のプロを求めている
経済のグローバル化が進行するにつれ、その波に乗れる企業がある一方で、ダメージを大きく受けている企業もあります。 IT(ITC)とかネットワークなどの技術変化はあまりにも激しく、企業トップの潜在的な経営感覚は旧態依然としていて、経営環境の変化について行けていないことが多いようです。
このような時代に生き残り、勝ち進むには、まず、トップが変身しなければ企業はよくなりません。
しかし、「俺以外にうちの会社を任せることができる人材がいない」と思いこみ、自分で自分の首を切る勇気のあるトップは皆無といってもよいでしょう。それ故に日本の企業はよくならないと言う人すらいます。
幸い、ほとんどのケースにおいてトップの首を切らなくても、この悪循環を断ち切る方法があります。
社内で問題を解決できなければ外部ブレインを使うことです。とりわけ経営コンサルタントの力を借りることで、効果的に変革できるのです。
「中小企業が経営コンサルタントを使うなんて?」という発想を脱し、トップが「現状打破をし、健全な経営ができるようにしたい」という意識を持つきっかけがあれば、企業淘汰の坂道を転がり落ちなくて済みます。
ある会合の席上で「コンサルタント料金というのは高いと聞いているけれど、何をしてくれるの?」と言われ、がっくりと来たことがあります。
世の中には、「コンサルタント」と呼ばれる人はたくさんいます。投資コンサルタント、財産管理コンサルタント、不動産コンサルタント、建設コンサルタント、健康コンサルタントなどなど挙げればきりがないほどです。
ここでは、1970年代から経営コンサルタント歴を背景に、企業経営に関するコンサルタントをいかに活用するかに焦点を当てて、独断と偏見でご紹介します。
■4-02 【経営支援】 なぜ外部のプロが必要なのか 経営コンサルタントという職業があることは知っていますが、果たして経営コンサルタントというのは何をしてくれる人なのでしょうか?
ここでは、これまでに経営コンサルタントを利用したことがない経営者・管理職向けにわかりやすく解説いたしました。
一方で、すでに経営コンサルタントを利用しているがなかなか成果が上がらない経営者・管理職もいると思います。その様な人達の多くが経営コンサルタントの利用方法を間違えているからです。
ここでは失敗しない経営コンサルタントの利用方法について考えてみましょう。
まず、そのまえに、なぜ経営コンサルタントなど、経営の専門家と言われます外部のプロの力が必要なのか、再度整理してみましょう。
グローバル化の時代とかスピード経営などと言われて久しくなりますが、この間の大きな変化は顧客ニーズの多様化とそれに対応できる経営の高度化の必要性に顕著に表れてきています。
経営者のカリスマ性が叫ばれたこともありますが、経営の高度化に伴い経営の舵取りはますます難しくなってきています。
経営者が描いている夢の実現には、一層高度な経営技術が求められてきて、スーパーマン的な一人の経営者だけでは持続的な企業作り(ゴーイングコンサーン)は、一部の例外を除くと不可能と言っても過言ではありません。
一方で、バブルがはじけ、リーマンショック、コロナウィルス禍などを経験して以来、日本の経営者は、成果主義とか○○経営とかという最新の経営技術を取り入れようと一所懸命に努力をしてきました。
ところが、その努力に反して、思わしい結果を得ることができず、日本全体の相対的な国力低下からグローバル市場での競争力低下などに繋がっています。多くの経営管理が、自信を喪失してしまっていて、日本そのものが萎縮傾向にあります。
その様な中でも、元気な会社もあります。
元気な会社に共通しているのは、目的達成のためのビジョンや理念が明確で、その達成のための計画とアクションプランがあり、それを使いながらノウハウの蓄積をし、そのノウハウを使ってさらに上を目指せる体質や風土といったものが定着しています。
これを「持続できる仕組み」とか「温かい管理設備」といいます。
企業が変革を行おうことを考えて、いろいろな書物を読んだり講演会などで話を聴いたりして、見よう見まねでやっても持続できなかったり、うまくいかなかったりします。
見よう見まねで導入した仕組み・設備は、形だけの導入、すなわち「ハードウェア的導入」といえ、その運用である「ソフトウェア」が伴っていないからです。
すなわち、仕組みや設備の導入は、知識ではなく利用・活用ノウハウが求められるのです。
それを内部の社員だけで行おうとしますと、ノウハウが欠如しているだけではなく、企業にはびこっている企業風土や人間関係のしがらみという呪文に縛られてうまく機能しないのです。
若手の社員が変革の良い提案をしたとします。経営者もそれは良い考えとその提案を受け入れようとして、その社員を含めたプロジェクト・チームを作り、いざ変革を始めてみました。
ところが、提案した若手のやり方がその企業にとっては斬新すぎて、その会社ではやったことがないことから「前例がないから」とプロジェクト・リーダーに受け入れられないかもしれません。
別の提案をしますと、「それは製造部門では受け入れられない」「○○常務の管轄ですので、われわれが口を挟むべきではない」などとまたしても人間的なしがらみが障壁となってしまいます。
これではいけないとワンマン経営者が号令をかけても、社員のところまでその真意が伝わらず、社員が動かず、管理職は上と下との間に挟まれて身動きができません。
このようなことがあってはならないのですが、経営コンサルタントなど外部の人間の言うことには意外と耳を貸すのです。
いろいろな業界のいろいろな局面で鍛えられ、第三者的な中立的な意見を述べることが、経営コンサルタントの存在意義なのです。
経営コンサルタントは、企業が持つ経営資源の有効活用を、企業の人達とともに進め、業績という結果に結びつけ、企業の持続的成長につなげます。
■4-03 【経営支援】 コンサルタントのタイプを知って依頼する
経営に関するコンサルタントといいましても、いわゆる経営コンサルタントもいますし、税務や財務などの相談者としては、公認会計士や税理士といった先生もいます。 しかし、目先の資金繰りに困ったときには、その道を専門としているコンサルタントもいます。労務関係としては、社会保険労務士がいますし、官公庁向けや公的な書類を作成するためには司法書士や行政書士という先生がいます。
また、経営情報関連では、ITコーディネータや情報関連の各種資格を持っているコンサルタントがいます。経営者としての個人資産の管理に関しては、ファイナンシャル・アドバイザがいます。
一口にコンサルタントといいましても、この様にいろいろな専門分野を持ったコンサルタントがいます。
コンサルタントに何をお願いしてやっていただくのか、コンサルタントに依頼する目的を明確にしなければなりません。ところが、どのようなコンサルタントに頼んだらよいのか始めからきちんとわかっていない場合が多々あります。
人間がどこか具合が悪かったり、一見健康そうに見えても病気にかかっていたりするかも知れないときに医師の診断を受けます。
それと同様に、企業は、経営コンサルタントに依頼して、診察を受け、原因を見つけてもらい、治療法を検討してもらってから、治療方針に基づき治療をしてももらう必要があります。場合によりますと、専門の先生を紹介していただき、専門医にかかって治療をしていただくということもあります。
経営コンサルタントといいましてもさらにいくつかに分類できます。しかし、特に決まった分類方法があるわけではありませんが、さらにそれを詳しく見てみましょう。
経営コンサルタントというのは、企業や組織、時には個人からの依頼により、依頼主の要望に応じて臨機応変に対処する方策をアドバイスする職業といえます。それが財務の問題であったり、営業強化、生産効率、経営情報化、原価管理、労務、時には個人の税金対策や個人の悩みまで含まれたりすることもあります。
■4-04 【経営支援】 コンサルタント不要な企業創りをプロに依頼する 経営コンサルタントへの依頼主が、自分の会社のどこに問題があるのか、問題点がわからないこともあります。
問題はわかっていながら、どう対処したらよいのか困っていることもあります。
それどころか、問題も、その解決策もわかっていながら経営コンサルタントに依頼してくることもあります。解決策を実行する人材が社内にいないということがその理由です。そのような時には、本来は現場がなすべき実務といっても過言ではないような部分まで、経営コンサルタントが実際にやってくれることもあります。
例えば、月次決算データを毎月詳細に分析し、それをグラフに整理して経営者が意思決定しやすいように資料を作成するという業務までしてくれる先生もいます。
これは、税理士がパソコンのソフトウェアで自動的に財務分析をする内容とは異なり、具体的な戦術面までのアドバイスが含まれています。大企業であれば経営企画室などが担当して行うような作業です。
社員研修なども、実務的な面での経営コンサルタントによる支援業務の良い例といえます。社員の能力を向上させたくても、それをどのように進めていったらよいのかということになりますと、大企業でも最適な講師がいないこともあります。
経営コンサルタントとは、良い感度のアンテナを持って、社内の現況調査・分析を通して問題を発見したり、その原因を追及し、その問題の解決策を企画し、どのように進めていったらよいのかを勧告したりします。
提案内容を依頼主に理解してもらい、それを実施させ、効果を上げてもらわなければなりません。
しかも、それだけで終わってはなりません。経営コンサルタントがいなくても業績がのびていける企業体質を持てませんと、いつまで経っても経営コンサルタントから独り立ちできない経営コンサルタント依存症にかかった企業のままでいることになってしまい、それでは経営コンサルタントが支援した意味がないのです。
経営コンサルタントから学ぶだけではなく、経営コンサルタントのような外部のプロが行っていることをまねながら心と体で習得して行き、それをまた別な局面で活かすようにします。
経営コンサルタントの仕事は、「経営コンサルタント不要な企業づくり」であり、経営コンサルタントとはそれを企業に実現してもらうことに協力する知的専門家といえます。
■4-05 【経営支援】 経営体別にみた経営コンサルタントの分類 1
適切な経営コンサルタントを探し当てる方法の一環として、経営コンサルタントを目的に応じて選別する方法を知っておくと良いでしょう。
前述のように経営コンサルタントの分類基準というのが明確になっているわけではありませんが、企業が経営コンサルタントに依頼をするときに知っておくとその判断の助けになります。
どのような先生に頼んだらよいのかという観点から経営コンサルタントを分類しますと、経営体別に見て分類する場合と経営コンサルタントの業務推進法から分類する場合になります。
① 個人経営
経営コンサルタントの多くは「個人経営」です。独立コンサルタントとも言いますが、町医者のように事務所を開いて、身近にいて経営相談に応じたり、顧問契約をして毎月企業を訪問したりする、小回りがきく相談相手です。
一方で、一人で仕事をしているために専門外の問題には対応が不充分になることがあります。その場合には、その先生に適切なコンサルタントを紹介して欲しいとお願いするのもひとつの方法です。
個人経営のコンサルタントは、何らかのコンサルタント団体に属している可能性がありますので、その人脈から、適切なコンサルタントを紹介していただける可能性があります。
②コンサルティング・ファーム
コンサルティング・ファームとは、民間企業などがコンサルティングを目的として法人化した会社です。
異なる分野の経営コンサルタントを組織化し、組織的なコンサルティング・サービスを提供しています。大手企業が利用することが多く、中堅・中小企業には適さないことがあります。外資系で、会計分野から拡大してきた企業が多く、コンピュータのシステムを利活用することを前面に出してくることがあります。
日系企業の大手コンサルティング・ファームは、カリスマ的なコンサルタントが起業し、成長し、成功してきて、日本の代表的なコンサルティング・ファームにまでなり大活躍し、知名度も高くなっています。
外資系コンサルティング・ファームがどちらかというとICTや財務会計とりわけシステム面を重視しているところが多いです。それに対して、日系のコンサルティング・ファームは、社員研修が中心であったり、総合的なコンサルティングをしたりしているところが多いようです。
上述のような大手と中堅コンサルティング・ファームとの規模格差は結構あり、二極分化をしている傾向があります。
中堅・中小のコンサルティング・ファームは特定の業界に特化して、その業界ではナンバーワンという企業もありますので、当該する業界に強い経営コンサルティング・ファームを選ぶのも一つの方法でしょう。
ただし、担当するコンサルタントが正社員ではなく、独立コンサルタントと契約した「契約コンサルタント」が担当することが多々あります。この様な場合には担当コンサルタントがしばしば交代し、継続的なコンサルティングではないことがあることから、契約前に確認をするとよいでしょう。
■4-06 【経営支援】 経営体別にみた経営コンサルタントの分類 2 前項に続きまして、コンサルタントの経営形態別の分類から、コンサルタントを選ぶポイントをご紹介します。
③ 総合研究所
「○○総研」などという名称のことが多く、金融機関や大手企業の経済研究機関、アメリカでは大学の研究室が独立して設立されているようです。
学者肌の研究者タイプの人が多く、理論的には優れたものを持っている反面、経営実務や現場の状況に疎く、頭でっかちの助言をされることがありますので、契約する前に、その視点でのチェックも必要です。
講演会の講師選択に適している経営コンサルタントが多いのも特徴でしょう。
知名度が高いところが多いですが、知名度だけで選定しますと、自社にあわないこともあります。
クライアントに大企業が多く、中堅・中小企業に対する経験が浅いこともあります。また、大企業向けのコンサルティング手法を、そのまま応用するがために、規模の小さいところにはそぐわぬことが多いのです。
④ コンサルタント団体
コンサルタントの代表的な団体がいくつかありますが、経験の浅い会員から超ベテランまで、いろいろなコンサルタントがいます。これらの団体に問い合わせますと、目的や希望にそったコンサルタントを紹介していただけます。
たとえ年齢的には若くても有能な経営コンサルタントもおり、料金も高くなく、すばらしい助言をしてくれることもあります。
一方で、定年退職をして、コンサルタントになったような人は、一見しますとベテラン風ですが、コンサルティング経験の浅さが目立つ先生もいますので、外見だけで判断しないようにすると良いでしょう。
特に大企業出身で、中堅・中小企業のコンサルティング経験が浅い先生ですと、頭でっかちのコンサルティングになったりして、自社の体質に合わない場合もあります。
社団法人や財団法人というような法人格を持っている団体が多いのですが、NPO法人であったり、設立の歴史的経緯などから法人化していない団体もあったりします。
法人格を持っているとか、所属している会員数が多いからその団体が有能な経営コンサルタントを持ち、活発な活動をしているとは限りません。
有能で良心的な経営コンサルタントを揃えている団体を探すことが第一歩でしょう。知名度の高い団体が必ずしも有能で良心的とは言い切れませんので、経営コンサルタント選びとともに団体選びにも注意が必要です。
⑤ 組織化したコンサルタント
前述しました個人経営のコンサルタントの多くは、いずれかの団体に属しています。しかし、一人でコンサルタント業務をすることは、専門外の領域に充分対応できないなどの問題だけではなく、情報量不足など、いろいろな問題がからんできますので、それを解決することを目的として、気のあった経営コンサルタントが組織化することがあります。
組織化の結果、コンサルティング・ファームとして法人化する場合もありますが、最近はLLP/LLCなどという協同組合的な法人体系をとることがあります。
また、法人化をしないまでも、経営コンサルタントが組織的にグループ活動を行うことが増えてきています。共同受注をしたり、共同して業務を遂行したりしていて、個人経営の欠点を補っています。
経営形態は、大企業や官公庁に適したコンサルティング・ファームや総合研究所と中堅・中小企業向けにはコンサルタント団体やコンサルタントの組織などに大別でき、「大は小を兼ねる」というのは難しく、大企業向けのコンサルタントが中堅・中小企業でコンサルティングをするのは必ずしも適切とはいえないということを心しておくことが必要です。
■4-07 【経営支援】 タイプ別にみたコンサルタントの分類 前項で、経営コンサルタントの2分類方法を紹介しました。すでにその一つは紹介しましたが、他方の切り口であります、タイプ別の経営コンサルタント分類法を紹介します。大きく、3つのタイプに分類できます。
◇ 顧問企業支援型
その一つが、企業等を顧問先に持って、定期的に顧問先を訪問してアドバイスをする「顧問企業支援型」です。
この種の経営コンサルタントは、いろいろな企業の顧問として、その企業の恥部まで深く知りつくして、多くの事例を幅広く持っています。それぞれの分野でいろいろと研究を継続していることも多く、各種の事例をベースにした研究論文を発表していることもあります。
◇ 講演・執筆型 二つめは、執筆や講演会などで活躍している「執筆・講演型」コンサルタントと言える人たちで、比較的有名な人が多いのが特徴です。 大学の先生や研修者、顧問企業指導型経営コンサルタントが発表する研究論文などに目を良く通していて情報通の人が多く、新聞記者などマスコミの出身者もいます。
広く浅い情報を持っていますが、必ずしも企業の現場を詳しく知っているわけではありません。また、この分野で活躍している人がすべて有名というわけでもありません。
◇ 社員研修型
三つ目の分類は、社員研修を主に行っている「トレーナ」と呼ばれる人たちで、やはり「経営コンサルタント」と呼ばれています。 顧問企業指導型や執筆・講演型経営コンサルタントの発表する論文や書籍などをベースに、それらを実践できる社員を育成して、結果に結びつけられるように研修などを中心に行っています。すなわち社員の能力向上の面から企業の活性化を図り、業績を伸ばそうというタイプです。
上記の三分類のほかに、アメリカ型ビジネスコンサルタントと言われる経営コンサルタントがあります。
企業の売上高に対して○○%を、あるいは売上など目標を設定し、それを達成できたら売上の○○%を成功報酬として支払ってもらうという、成果報酬型のタイプです。
◇ コンサルタントのその他のタイプ
また、上記に分類できない経営コンサルタントも多々あります。 すなわち、すべての経営コンサルタントがこのいずれかに属するというのではなく、それらを横断的にまたがっているのが一般的です。経営支援効果という面でも、その一つだけでは不充分な面があるからです。
顧問企業支援型といえども、社員のレベル向上は必要ですから、通常のコンサルティング業務の一環として社員や幹部研修をすることもありますし、講演会で講師をしたり、時には雑誌に記事を書いたりすることもあります。
長期的取り組みをする場合には顧問契約型の経営コンサルタントに依頼するのが良いでしょう。しかし、1ヶ月に1~2度顔を見せるだけの経営コンサルタントではなく、困ったときにいつでも飛んで来てくれるようなフットワークの良い経営コンサルタントを選ぶなどの判断も必要です。
これら分類の境界線は明確になっているわけではありませんが、どのようなタイプの経営コンサルタントなのかを見極めて、自社の目的に即した経営コンサルタント選びをするときの目安となるでしょう。
■4-08 【経営支援】 経営コンサルタントを利用する企業側のメリット
では、経営コンサルタントを利用するとどのような効果があるのでしょうか。
私たちは、年に1回位は人間ドックに入るなどして健康診断を受けます。自分の健康状態を自分でわかっているようでいて、実際には検診で始めて病気が発見されたり、病気になる予兆が見つかったりします。
企業でも同様で、自分の会社のことを経営者が一番よく知っているようですが、気がつかない部分で蝕まれていることがしばしばあります。すでに自社の問題点がわかっていても、診断を機会に潜在的な問題が見つかることもあります。
「部外者に何がわかる」と考える経営者・管理職がいますが、個々の木を見るのではなく、一歩引いて森を見るようにする、いわゆる経営コンサルタントによる第三者の冷徹な目で見てもらえるというのがメリットのひとつです。
経営コンサルタントはいろいろな業界や企業の、いろいろなケースを見てきていますので、自分の会社と比較してもらいますと、自分の会社のどこに問題があり、それをどのように解決したらよいのか、経営戦略のアイディアやそのヒントを与えてもらえます。
同業他社のやり方だけではなく、他の業界のいろいろな経営手法を知ることができますので、今までの延長線上にあるような経営からの脱出、そして飛躍が可能となります。
経営方針が新たに明確になっても、それを実践していく段階で、どのように進めたらよいのかでストップしてしまうことがあります。それを誰がやっていくのかという人的な面での問題にぶつかることもあります。
そのようなときに、経営コンサルタントは、管理職がリーダーシップを発揮するにはどうしたらよいのか、知識で学ぶだけではなく、それを実践していくツールを提供してくれたり、ツール作りやカスタマイズの助言をしてくれたりすることがあります。
そのツールを使いますと、管理職として何をなすべきかが明確になり、それを使っているうちにリーダーシップの取り方を体得でき、ツールを使っているうちに自然と管理職としてのレベルを向上することができるのです。
このように管理職向けのツールは、複合化され、「管理職向けの管理設備」と呼ばれます。管理設備は、企業毎、管理者毎に多少ことなりますが、その設備通り行うことにより、「温かい管理」をすることができます。
この設備は、ICT技術をベースにした、いわゆる「システム」と一般に呼ばれる者とは異なり、極端な話、ICTがなくてもこの設備を利用できます。もちろん、Excelなど、ICTなどのリテラシーが身についていますと、効率よく運用することができます。
■4-09 【経営支援】 目指すは経営資源の良質化 管理設備などを利用して、温かい管理が定着し、管理職がリーダーシップを発揮できるようになりますと部下が自然と育ってきます。すなわちヒト・モノ・カネという経営資源の中の中核をなすヒトが良質化されるのです。 ヒトが良質化されますと、そこから生まれてくる商品やサービスも良質化します。
その結果業績が向上しますと金利負担の少ない良質な資金(カネ)が入ってきます。
業績が上がりますと、マスコミで話題にも上るようになり、知名度が上がります。それにともない、有能な社員も入社するようになり、質の高い人材の集団に変身できます。
その効果でさらに良質な情報が集まるようになります。その結果品質の高い経営ができ、時間という経営資源も良質化するのです。
企業の経営者・管理職の中には、「講演会などで聞いてきたことは価値があると考え、俺がいくら良いことを言っても社員は耳を貸そうとしない」と嘆く人がいます。
経営コンサルタントの口を経由して話をするというような使い方は、経営コンサルタント側としては本意ではないのですが、多くの企業でこのような権威主義的な現象が起こっていて、私ども経営コンサルタントの話には耳を貸すということがあります。
この様なことは、好ましいことではないのですが、隠れた経営コンサルタントを使う副次的なメリットのひとつと言えるのかも知れません。
しかし、企業経営で最も重要なことの一つは、経営者自身の問題です。
自信過剰で、自分があたかもカリスマ経営者のように振る舞うワンマン社長とバブルがはじけて自信を喪失している経営者と二極化傾向が見られます。
前者のワンマン社長は、「改革こそわが社に必要なこと」と声を大にし、次々と施策を発表し、自分は豊富な知恵がわき出る天才経営者と思い込んでいます。社員が愚かに見えて、「役員を筆頭に、頼りになる社員がいない」と愚痴をこぼしています。
ところが、中間管理者は、次々と社長から出る指示に振り回されます。前回出た指示が途中段階であるにもかかわらず次の指示が出て、自分でそれを咀嚼するゆとりもなく「社長から指示が出たので、とりあえず部下に伝える」ということが繰り返されます。
社員は、やる気のない管理職から毎日のように何か言ってきますが、いったい何を言いたいのだろうと理解できず、他人事であるかの振る舞いです。それが社長から出ている指示であるという認識もないのでしょう。
社長は、自分が名案を出しているのに一向に業績が良くならないと考えてまた新たな指示を出します。朝令暮改や矛盾した指示が出されても誰一人としてそれに対して意見も反論もしません。
すべてそうであるというのは過言ですが、社長独り相撲の空回りが継続していることについて社長は気がつかないでいます。
そのような経営者に気づきを与えるのが第三者的視点で見ている経営コンサルタントなのです。
経営コンサルタントは、盲目的に動き回っている経営者と共に、目的地はどちらの方向なのかを見定め、地図を見ながら途中の道標(マイルストーン)を確認します。
また、途中のマイルストーンまでを踏破するのにどのようなリスクが待ち構えているのか、その対応策を考えます。そして、全員がスムーズに目的地に到達できるように、全員が持っている力を最小投資で、最大効果を上げられるようにアドバイスをします。
このように、様々なことを介して、経営資源の有効活用ができるような企業づくりのお手伝いをするのが経営コンサルタントなのです。 |
|||||
↑ Page Top | |||||
ホームページ 経営マガジン 経営トップ・管理職 経営コンサルタントFAQ コンサルタントへの道 会社概要 お問い合わせ |
|||||
© copyrighit N. Imai All rights reserved |