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経営トップ15訓 ”当たり前”が実行できる |
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第 4 訓 社員(会員)のメリットを優先し、トップとして公平・公正なる判断をする |
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■ 日本経営士協会の基本思想を理解できるか? 私どもの経営コンサルタントの協会というのは、戦後復興期に当時の通産省や産業界の勧奨を受け、日本公認会計士協会と母体を同じくする、日本で最初にできた経営コンサルタントの資格付与団体です。ですから、活動の基本は資格審査と付与となります。 ところが、資格取得にしろ、資格取得後にしろ、会員の大半が経営コンサルタントとしてのやり方に不案内です。ですから、単に資格付与をすれば良い団体では会員は満足できません。 平成15年に50周年を迎えたときに新第二創業として、資格付与及び経営コンサルタントの育成という二本柱に基本方針を転換しました。しかし、経営コンサルタントというのはプロフェッショナルな仕事ですので、一般企業や教育団体のように手取り足取りでの始動をする場ではありません。 「協会が何かをしてくれるのを待つのではなく、協会で自分が何をすべきか、何をすれば会員であるメリットがあるのかを見つけ、自分で汗を流して活動する」という考え方を基本としています。 ■ お金が欲しければコンサルタントをやるな 経営コンサルタントというのは、平均所得も高いプロフェッショナルな仕事ですので、あこがれやお金儲けを目当てにして入会しようとする会員も多いのです。「お節介焼き」精神が重要と考えます。協会の中で、先輩会員や仲間からそれを感じ取って欲しいのです。 経営コンサルタントというのは、いかに経営をうまくやるかを常に考えているので、その目指す方向やそれを実現する方法論は知り尽くしているはずです。もし、自分の懐を豊かにしようとしたら、経営コンサルタントで報酬を得るよりも、自分が経営者としてやる方が手っ取り早いでしょう。 会社をどのように運営したら良いのかを考えるときに、社員(会員)に対してどのようなメリットがあるのかを考えた経営をしないと、周りを見たら社員(会員)が皆敵であったなどという悲劇が起こらないとも限りません。 ■ 部下の造反を受けた役員 ある中小企業の営業担当役員が、部下のためと考え、厳しい管理をし続けました。営業パーソンの時間管理を厳しくし、ムダな動きがあると、なぜそのような行動をとったのか、厳しく糾弾しました。またあるときには、地方出張先への交通手段が他に安い方法があるにもかかわらず、なぜこのような割高なルートをとったのか、厳しく追及しました。 またこの役員は、営業日報に赤ペンを入れるのが好きという程、熱心に営業日報を読み、コメントをよく書くために「赤ペン常務」というあだ名がついています。営業パーソンの行動や判断に参考になることで赤ペンを入れるのであれば部下はそれを参考にできますが、この役員は、有名私立大学の文学部出身ということもあり、日本語の表現に煩いのです。テニオハのような処まで、重箱の隅を突っつくように赤ペンを入れるのです。 この役員の全てが悪いわけではなく、むしろ賞賛される部分も多いのです。しかし良い内容のことを言っているにもかかわらず、言い方や表現方法論が悪かったり、度が過ぎてしまったりすると反発となります。 彼は、このような業務に時間を取られるために、営業パーソンが先方のトップに会いたいので、この役員に同行して欲しいと思っても「忙しくてそれどころではない」のにべもない返事が返ってくるのが常です。自分のパソコンに向かって、毎日夜遅くまで仕事をしているのです。そのために部下は、その役員に同行依頼をすることもできないのです。 ■ 依怙贔屓(えこひいき) そのような中でも、彼の部下に優秀な業績を収めている営業パーソンが一人います。彼は、営業経験も長く、担当している顧客がABC分析でAランクの会社が多いのです。売上も先が読めるほどで、売上予算に対してそれを大きく上回るような月には、意図的に翌月に回すなどして、毎月コンスタントに売上予算を達成していました。 この役員をは、その営業パーソンに対しては、非常に甘く、あまり文句も言いません。 ある日、その営業パーソンを除く全員が辞表をその役員にたたきつけて、辞めて行ってしまい、ライバル企業に移ったのです。 部下をキチンと見て、公正なる判断を下せば、この優秀な成績を修めている社員の実態を知ることができ、手抜きをしている真の姿を見抜くことができるでしょう。公平なる扱いをしていれば、社員(会員)がゴッソリとライバル企業に移るというような事態を招かなかったでしょう。 少しのムダでも塵と積もれば山となりますので、厳しさは必要ですが、その程度が重要です。厳しさも公平さを欠くととんでもない結果に繋がってしまいます。 「公平」「公正」という言葉は簡単ですが、いざ実行する段になると難しいです。しかし、自分でそれを意識し、自分を厳しく見据えることをしてゆくうちに、いつしか公正であり、公平な判断ができるレベルが向上してゆくのではないでしょうか。 |
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